アウトドアにおける熱中症予防

滋賀YMCAウエルネス 

昨年2022年全国で熱中症で搬送された人数は71,029人だそうです。気温が高くなり体温が上昇すると人間は汗をかきますが、たくさん汗をかき体内の水分が少なくなると汗をかけなくなり、体温が急激に上がってしまいます。

子ども達の場合は、暑さを感じて汗をかく機能が十分発達していない場合があります。また、大人より地面に近いために地面からの照り返しによって大人が感じるより熱の影響を受けています。赤ちゃん、ペットの散歩も同じことです。大人が暑いと感じたら子ども達はそれ以上と考えるべきです。

暑い夏を迎えるにあたって、普段からエアコンに慣れすぎると、汗をかくという機能が十分準備されていない場合があります。大人は汗をかくと化粧が崩れるとかズボンの線がなくなるとかとつい涼しい環境を求めますが、子ども達が暑さに慣れ汗をかくことが出来るように、アウトドアでの体験を楽しめる準備のためにも、今から暑さに少しずつならせておくことをお勧めします。

1.子どもが熱中症になりやすい要因

(1)発汗機能が未発達

(2)体格的特徴(大きな体表面積/体重比)

(3)暑熱順化・季節馴化が遅い

2.子どもの熱中症を防ぐポイント(熱中症環境保健マニュアル2018,環境省)

(1)顔色や汗のかき方を観察しましょう

子どもを観察したとき、顔が赤く、ひどい汗をかいている場合には、深部体温がかなり上昇していると推察できるので、涼しい環境下で十分な休息を与えましょう。

(2)適切な飲水行動を学習させましょう

喉の渇きに応じて適度な飲水ができる(自由飲水)能力を磨きましょう

(3)日頃から暑さに慣れさせましょう

日頃から適度な外遊びを奨励し、暑熱順化を促進させましょう。

(4)服装を選びましょう

幼児は衣服の選択・着脱に関する十分な知識を身につけていない.。そのため,保護者や指導者は熱放散を促進する適切な衣服を選択し、環境条件に応じて衣服の着脱を適切に指導しましょう。

3.予防策

<服装>

 上記のように熱放散を促進する素材の服を選びましょう。また半そでよりゆったりした長袖の方がより良いです。

<帽子>

キャンプでは必ず帽子をかぶりましょう。帽子をかぶって直射日光を避けることで頭の温度を5℃~10度減少させるとされています。

帽子はキャップよりハットが適切です、特に首周りの血管が熱せられないように防いでくれます。そして後頭部にケープと呼ばれる「垂れ生地」のついたものはより効果的です。もしついていない帽子でもバンダナやタオルを防止に挟んで後ろに垂らすように被ると効果的です(久保田お勧め)。最近帽子に冷凍庫で冷やした冷却剤を入れるものもあります。家族キャンプなどはよいでしょうが、団体のキャンプでは対応しにくいと思います。濡らして首に巻くクールマフラーも有効です。扇風機などの電池式や冷却材の必要なものなどは子ども達のキャンプには対応できずに不向きです。

帽子を選ぶときは、太陽光を遮るもの(黒いものは選ばない)で通気性の良いもの、ケープが付いていればより良い。そして何よりストレスなく被れるものを選んでください。かぶるときつくて頭が痛くなるとかではなく、かぶっていることを忘れるぐらいのものが子ども達には良いと思います。

<こまめな水分補給>

汗をかかなくなるとか、おしっこに行かなくなるとかは熱中症になりかけているサインです。水分は一度に大量に取らずこまめに少しずつ摂りましょう。

 直射日光の当たるアスファルトの上や建物の横などは輻射熱で気温が上がります。ボートやヨットカヌーなどの水辺での活動は涼しくて良いように見えますが水面の照返しなどでよいとは言えません。そういう活動で体調が悪くなりかけたら(安全であれば)水の中に入って泳いでください。

4.もし熱中症になってしまったら

頭痛がする、頭がくらくらする、悪寒がする、足がつるなどの自覚症状がでます。

顔が赤い、ねっとりした汗をかくなども親や指導者が気づいてあげなければならないサインです。

重症の場合はぐったりしたり、呼びかけの反応が遅い、動きが遅いなどの症状が現れ、場合によっては意識がなくなりけいれんを起こしますあります。すぐに救急搬送が必要です。そして直射日光の当たらない涼しい場所に移すこと。楽な格好で横にならせ、首やわきの下、鼠径部など太い血管が通っている場所を中心に冷やしてあげます。昔のクラブ活動のように水道の蛇口の下で頭や首筋を流水で冷やすとか、全身冷たいシャワーを浴びるや水風呂に入るなどは効果的です。落ち着いてきたとしても重症であった場合は臓器に影響を与えている場合がありますから病院を受診してください。

 熱中症になってから大量の水を飲ませても体が吸収しません。かえっておなかを壊したりします。熱中症になってからではなく、常時こまめに水分を取るべきです。水より吸収されやすいOS1などを摂る方が良いとされています。OS1は家庭でも簡単に作れます。

いずれにしろ指導者保護者は早めに気づいてあげ、処置をする必要があります。

 OS1の作り方

水2リットル
砂糖大さじ9杯
塩小さじ1杯
レモンなどで香りをつけてあげ、冷やすなどすると飲みやすいです。

 滋賀YMCA 総主事久保田展史

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