セント・アンデレ・クロス(1)

「アンデレクロスとの出会い」

 私がアンデレクロスに初めて出会ったのは山梨県清里にある清泉寮でした。バッテンにも見えるこの斜め十字は清泉寮の玄関で象徴的に輝き、新鮮なものとして当時の私の眼に映りました。そして私たちはここで長年高原キャンプを実施してゆきます。

 アンデレとはイエスキリストの12人の使徒のうちの一人です。その最後殉教の時にイエスと同じ十字架にかけられるのは恐れ多いとこの斜め十字を選んで架かったと言い伝えられます。

 また、このアンデレはスコットランドの守護聖人とされ、スコットランドの国旗にはこの斜め十字がデザインされ様々な国旗や勲章にもこのアンデレクロスは用いられています。

 このアンデレクロスを戴く「清泉寮」というこの山間にある高冷地実験農場は、ポール・ラッシュというアメリカ人によってはじめられ、発展したものです。木造りの瀟洒な建物を中心に八ヶ岳の雄々しい姿をバックに広がる雄大な牧草地と牛たちののどかな景色が象徴的なスケールが大きくもあり心休まる景色となります。昭和のはじめポール・ラッシュは貧しい山間の農地を広げ、酪農を若者に指導し、夢と信仰をもって生き生きと生活するようにとここに関わりました。太平洋戦争で帰国を余儀なくされますが、終戦直後進駐軍の一員として日本にもどり働きを再開して農場から教会、幼稚園、病院と大きな働きを残してゆきます。愛と信仰によって若者を育てようとする彼の働きはYMCAの働きとよく似ています。またヴォーリズの働きともよく似ています。ポール・ラッシュはサービスの和訳は「祈り」と「奉仕」であると説きます。この山間の片田舎で多くの若者が生き生きと信仰生活を営み、社会への奉仕をもう一方の働きとしながら続くこの活動は私にとって憧れの存在です。その昔、私が自分の洗礼名に「アンデレ」を選んだのもこの働きへのあこがれからでした。奉仕の精神を持ち生き生きと生きる、いつの世も青年たちにそうあってほしいと、YMCAも多くの青年の育つ場所となりたいと願っています。

文/滋賀YMCA総主事 久保田展史(滋賀YMCA News 9/No.80 2019)

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