セント・アンデレ・クロス(4)

興味を持って前向きであること

 年齢を重ねるとワクワクすることが少なくなると言います。しかしこのワクワクする心は人間の行動にとってとても大事だそうです。YMCAのキャンプの手法ではこのワクワク感を増すために大事な手法として「動機付けをする」という行程があります。キャンプでは子ども達が積極的行動を起こそうとするために大切だと考えています。

 1983年の夏に「志賀高原ネイチャースタディ」キャンプを企画立案しました。文字通り志賀高原に行って大自の中で植物や動物の不思議をさぐろうとするキャンプです。その当時志賀高原でオコジョの研究をされていた動物学者の野柴木洋先生に野生動物観察の指導をお願いしました。事前にご相談した時に先生は子ども達の観察は否定的で、小さな子どもが長時間じっと座って観察することは無理だとおっしゃられ、現実的ではないという意見でした。このことを踏まえ、キャンプではリーダーたちと子ども達の動機づけについて長時間打ち合わせをし、事前の電話や当日のバスの中でも時間をかけて動機づけを行いました。そしていよいよ野生動物の観察です。先生が固体数の調査をするために餌を置く場所を中心に岩陰や木の陰に分かれて座りました。そしてなんとその場所で子ども達は30分間息をひそめて身動き一つせずに座っていたのです。そしてついに野生のリスが現れたのです。子ども達が一斉に私の方を振り返って声を出さずに「きたきた!」と口をパクパクしています。

 「かわいい」「ひげをこする動作が独特だ」「しっぽの上げ下げが面白い」じっくり観察した子ども達は、帰りのバスでも森に向かって「バイバイ」と手を振っていました。彼らにはこのリスの姿が森の中に見えていたのだと思います。野柴木先生はこの事にはとても驚いたそうです。子どもたちにも観察はできると確信されたようで、その後11年間、ずっとこのキャンプを手伝ってくださいました。ワクワクする気持ちが積極的行動を生み出します、そして新しい体験をすることができるのです。うちに籠るのでなく、わくわくして新しいことにチャレンジしたり興味を持つことが大切です。今の時代、年齢を問わずにワクワクする気持ちが必要なのではないでしょうか。

文/滋賀YMCA総主事 久保田展史

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